

教務部長はその大学の講義を通じていろいろな学生と親しくなった。そしてその中に時々鋭い質問をしたり、異色のレポートを書く学生を何人か発見したのである。それとなく聞いてみると、何と彼らはほとんどが大学受験をAO入試で入ってきているのだった。もちろんペーパーテスト組にも優秀な子はいる。しかし、その学生たちは普通のペーパーテストの勝ち組で、凄みのある突出した感じはしない。その学部は新設の若い学部で、聞いてみるとAO入試では先生方は模擬講義をして、論文を書かせ、それを巡って受験生と夜を徹して議論をするという大変手間のかかることをしたらしこい。「あんなしんどいこと、もう御免だ」とおっしゃった先生もいた。
[参考サイト]
四谷学院−大学受験予備校・塾
http://www.yotsuyagakuin.com/
個別指導塾、とくに大手有名個別指導塾は毎年の合格者をライバル個別指導塾と競い合い、生徒の奪い合いをするために、非常に難しい採用試験がありますし、入社後も研修の多さに肺易するほどです。指導力のない講師はたとえ自称「プロ」であるうと学生であるうと、自然淘汰されていきます。担当クラスの平均点が毎週のように、試験のたびにグラフとなって示され会議で発表され、講師どうしの競い合いを強いられます。成績があがらなければ校長や上司である講師が授業を見学して細かく指導しますし、授業後に毎日、講師が集まって交代で模擬授業を行ない、批評しあいます。また問題にされるのは成績だけではありません。夏期講習や冬期講習、特別授業があるたびに、生徒に無記名でアンケートを書かされ、その結果をすべて講師ごとに点数化し、生徒からのコメントもプリントされて講師全員に発表されます。名指しで講師を非難するコメントも容赦なく会議で公表されます。
[参考サイト]
個別指導教室(予備校・塾)/四谷学院
http://yotsuyagakuin-kobetsu.com/
合格可能性はどうやって判断したのだろうか。ここでは高校の先生の御託宣が絶対であった。先生は校内実力試験で、あの大学は例年校内で十番以内なら受かっているからまあまあいけるんじゃないなどと、勘と経験で御託宣を出していた。それと八卦見もしばしば活躍したであろう。しかし、先生の御託宣もあくまで校内の相対的位置づけからの判断であり、他の高校の志願者の状況は分からないから、外れることも往々にしてあったはずだ。いずれにせよ、当時の受験生たちは、大学に関する乏しい情報を自分の足で拾い集め、合格可能性に関しては自分の学力を冷たく客体化して決断する、という勉強とは違ったもうひとつの荷物を背負っていたのである。現在はどうか。大学選びのための情報に関しては、予備校や受験産業が日本中の大学に関する情報誌を作成しているし、近頃では大学側も私立国立を問わずインターネットやその他の媒体を使って、PRにすこぶる熱心であるので、その気になれば志願者は溢れんばかりの情報を手にすることができる。また、予備校などが主催する模擬試験を受験すれば、自分の位置づけに関する、これも痒い所に手の届くような詳細をきわめる情報が得られる仕組みになっている。すなわち、全国的な学力の位置づけ、希望する大学の志願者中の順位、そして合格可能性の評価に関するパーセンテージあるいはコメントなどである。